【講評】鈴木 恭介

■1位 山口 達
よく吹けていて慣れている感じがする。
和室で浴衣に半天、正座で演奏スタイルも良い。
音色、響もよく、勢いもあり獅子の笛になっている。
指打ちもよく出来ていて囃子らしくなっている。
ただ4で打ちすぎているところと逆に8を4にして打った方がいい所がありこれからの課題です。
それとフレーズの納め方・切り方を丁寧にするともっと良くなる。

 

■2位 くるみ
手附(楽譜)に忠実に吹けている。
太鼓ともよく合っていて指打ちもできている。
フレージングも終わりの音をしっかり吹けている。
音がもっと強く、勢いをもって響かせるといい。
体の動きも少なめでよい。

 

■3位 KARURA TRIO (カルラトリオ)
力強い音で竹をよく響かせている。
もう少し指打ちをして、指使いにミスがないように。
太鼓とはよく合っている、フレーズの納め方を丁寧に。
少し雑に聞こえる。

 

■アメリカで笛を広めてくれるで賞 Yumi Torimaru
笛に勢いがあって、音色も良く竹を強く響かせている。
指打ちもまずまずできている。
屋台でフレーズがやや前のめりになっているが…。
あとは体の動きを少なくし、目を一点に集中すること。

 

【総評】
現在、笛の表現スタイルは独奏、太鼓との共演、ピアノ等の合奏による洋楽的表現等さまざまです。
そんな中、古典的伝統音楽(歌舞伎囃子や能楽囃子等)に通じる若山流江戸囃子を体験することが笛の表現技術、音色の巾を広げる一つのきっかけになることを期待します。
伝統音楽は基本的に和服で正座し、静かな居ずまいで体の動きを極力制した姿で表現されるものです。
そこにおける構え、呼吸法、指使いからでる音の流れ、響きには何か祈りのようなものを感じとることが出来ます。
皆さん短時間で課題曲をよく吹けるようになっていますが体ごとの表現には少し違和感を持ちます。
手附どおりの正確な運指とフレージング(文句の字くばり)、それにカラオケの太鼓とずれない演奏が評価のポイントです。
囃子にはリズムにうねりのようなものがあり、2拍子や4拍子でメトロノーム的に進むものではなく、特に曲の変わり目でシマルことが多く、この辺をしっかり合わせることがとても大事です。(太鼓が打てるとよく分かります。)
笛の音は強くて太く、勢いのある音質が求められ、フレーズの切り方は息をしっかり押して切り、消えていくようにはしません。
指打ちも囃子らしくする大事な要素です。打ちすぎは困りますが。
動画はカラオケの太鼓とのバランスに注意しましょう。
部屋が響きすぎない方がいいでしょう。
背景や目線も気になります。キョロキョロしないで一点に止め、目は閉じない事。自由曲とは別に撮るべきです。
伝統音楽には指を高速でまわしたり、ワンブレスで長いフレーズを吹き切るとか、超絶技巧はありません。
ですから逆に一音一音に意味をしっかりと込め、フレーズをどう歌うかに大きな価値を置きます。
舞台芸術として洗練され極めつくされた古典芸能の笛の世界は我々のイメージを大きくふくらませてくれます。
それを感じとる感性が個々の表現の奥行きを深めてくれるでしょう。
江戸囃子をきっかけに伝統芸能(笛の原点)に時にはしっかりと目を向けて、活動していただきたいと思います。
最後になりますが、今回の課題曲に江戸囃子 獅子を取り上げていただき嬉しく思います。感謝いたします。

鈴木 恭介