【講評】佐藤 ぶん太、

■1位 片野聡
さすがの演奏でした。
ほぼピッチのズレはなし、きちんと演奏した感じです。
安心して聞ける内容でした。
ルパンのアレンジも聴衆を惹き付ける仕掛けが随所に組まれており、経験の多さを感じました。
ほんと教科書通りの演奏でした。
ただ、ひとつ注文をつけさせていただくと、動画でUPすると粗が目立つので細心の注意を払った分、笛の持つ本来の面白みが足りなかったです。
きれいに吹くプラスαの要素を今後期待しております。

 

■2位 井上 さと子
素敵な演奏でした。
心の琴線をつく音色。
その為には音と向き合うことが重要で、さと子さんは等身大の自分を表現しているように感じました。
あとは課題曲の呂音甲音とも六・6のピッチがもう少し改善されれば、もっとみんなを引き込む演奏になれると思います。
一度生演奏も聞いてみたいです。
できれば、次回はオリジナル曲で勝負しましょう!

 

■3位 津久井 香殊子
曲の意図をしっかり理解し吹いています、それを表現できる能力もあります。
しかし、技がある分曲の意図と違う部分で出した箇所がすこしだけ残念でした。
ナチュラルに技を見せてくれたらもっと良かったです。
自由曲もアイリッシュの要素も入ったりバラエティに富んでいました。
ただ盛り上がりに欠ける。
フルートでなく和笛を使う理由を曲中に見せてもらえたらもっと良いと思いました。

 

■映像大賞~色々考えて撮ったで賞!~ きさ
きささんの提出作品はショートムービーかPV!?という仕上がりでした。
顔を見せないながらも運指は見せるカメラの位置、管尻を向けて音をオンマイクのようにカメラに拾わせる笛の位置。
ただファッショナブルに作っただけではなく、緻密さもあります。
でも6分オーバーは良くないです。
みなさん、演奏部分の聞かせどころは後半が多いです。
時間内にまとめたほうがいいですよ。

■音響大賞~色々考えて録ったで賞!~ 井上雄介
聞いた中で一番収録音質へのこだわりを感じました。
インターネット篠笛コンテストもここまで来たかと驚愕しました。

 

【総評】
~譜面の先にあるもの~
今回はみなさんレベルが高く審査もだいぶ迷いました。
自由曲はいろいろな可能性を見せてくれて楽しみながら拝見しました。
また、課題曲はかなかなの難曲だったと思います。
自由曲と課題曲のでき具合がアンバランスな方も結構いたように感じます。
私も審査にあたり課題曲に挑戦してみました。
私ならどのように取り組んだかは参考になるのではと思い、それを課題曲の総評にします。
曲の中間に難しいフレーズが並び、初見ではテンションが上がる曲調なのにBGMはそれを意図していない様に私は感じました。
そこで曲の設定を※乳飲み子をおんぶしながら寝かしつけようとしている奉公に行っている女の子にし、その心情と風景を表現することを目標にしました。
そこで気づいたことは、心に秘めた複雑な思いを表現する曲なのでは?
だからただ優しく吹いてもぐっと来る演奏にならない。女の子は複雑な気持ちで、しかし力強く生き抜いているはず。
これをヒントに
①設定から曲の音色構成を考える。フレーズごとに優しくとか、この音を切なく聞かせるために直前の音はどのようにするか? を重要なところは一音単位で考える。
②①の表現をするために障害になる難しいフレーズをパートごとに練習する。
③②をクリアしたら通して演奏してみる。
④自分の目の前に設定風景が見えるか検証・出来たら身内や友人の誰かに聞いてもらう。
そしてやっとレコーディングします。

これは、譜面を上手に演奏するためではないのが皆さんおわかりだと思います。
譜面を上手に演奏するのにあたり評価してくれるのは笛関係者をはじめとした音楽関係者のみであり、我々が聞かせるべくいるオーディエンスには関係ないことなのです。

譜面の先にあるもの。
今回は譜面の先を見ていた方と見ていない方がはっきりしていたように感じます。
篠笛を含め日本の笛はもっともっと多くの方に評価してもらえる素晴らしい楽器だと思っています。
みなさんでもっともっと演奏力を向上させて魅力を発信しましょう。
今後も一緒に盛り上げていきましょう。

佐藤 ぶん太、